売れるイラストを描くコツをプロのイラストレーターが徹底分析してみた【フリーランス|需要|共通点|売れるレベル|ストックイラスト|実力】
こんにちは!めお(@meeowmiya)です。アメリカでフリーランスのイラストレーターをしながら世界中のクライアントと仕事しています。
本記事ではこういった疑問にお応えします。この記事を読んで得られることは次の通りです。
- プロが考える、イラストの「売れるレベル」がわかる
- 「 売れるレベル」と画力との相関がわかる
- 画力以外に必要なスキルの「売れるレベル」がわかる
- 需要が多く、売れやすいイラストの本質的な特徴がわかる
- 売れやすいイラストを分析し、自分のイラストに反映する方法がわかる
- 自分のイラストが「売れるレベル」に達しているか調べる方法がわかる
すべてのビジネス判断は、利益(=売上)が増えるか?に基づいており、「イラストを起用する」というビジネス判断も例外ではありません。
売れるイラストは、本質的に、「使われることで利益(=売上)をもたらす」という共通点があります。
「商品が売れる」から逆算すれば、ジャンル別にどういうイラストが売れるかを分析することができ、自分自身のイラストにも反映させることができます。
結論から言うと、イラストが売れるかにおいて、画力は最低限必要ですが、それ以上は画力を他のスキルでカバーできれば画力が低くても問題ないです。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次
売れるレベルの画力について
イラストの「売れるレベル」について、画力との相関で印象に残っているのは次の動画です。
この動画を配信しているThe Futurは英語圏ではトップに入るクリエイティブ系教育プラットフォームで、プレゼンターのChris DoはLAのデザインコンサルティング会社BlindのCEOでもあります。
4:04あたりから、Chrisは「この部屋にいる誰もがこのNikeのロゴを描けると思う」と言っています。
2:53あたりから、ChrisはNikeのチェックマークを3秒ぐらいで描いていますよね。
同じようにフリーハンドでなんとなくNikeのロゴだと認識できるものを描ける人はそこそこいると思います。
また、例えば絵心や画力が全くなくても、”Nike ロゴ 描き方”で検索して手順をたどれば、Nikeのロゴは描けます。
つまり、Nikeのロゴを実際に描くための「画力」はその程度あれば十分ということです。
プロ仕様に仕上げるのであれば、イラレや、最悪パワポで基本的な操作ができれば良いぐらいでしょうか。
画力以外に大切なスキル
ここで強調しておきたいのは、次のようなスキルは「画力」とは全く別だということです。
- あのチェックマークのロゴが思いつくかどうか(リサーチ・発想力)
- そもそもNikeにリーチできるかどうか(人脈・ネットワーク力)
- Nikeにチェックマークのロゴを出してYesと言わせられるか(プレゼン・営業力)
- Nikeのロゴを大衆に愛されるものにできるか(マーケティング力)
イラストが「売れる」ためには、画力以外にも大切なスキルがたくさんあります。
こちらの記事では、イラストレーターのサタケシュンスケさんが「絵の上手さ以外にも必要なこと」をまとめてくださっています。
抜粋させて頂くと
- クライアントのビジョンや目的をしっかりと聞き取る
- どんなものを望んでいるかを把握し、分析、視覚化
- 案件においてのイラストレーションの役割、立場を自覚している
- 見せ方やバリエーションをいくつも提案を持っている
- 表現について実績データに基づいた根拠のある説明ができる
- トレンドや世の中の情勢に合わせ柔軟に変化を受け入れられる体制
- デザインや印刷の知識があり、絵の使われ方までを想定できている
- 予算、納期の中で無理・無駄のないスケジュール・進行管理
- 制作過程の共有、こまめな状況報告、確認
- 相手が気づかないところまで先回りしてフォロー
- 想定外の事態にも対応できる体制づくり
などです。
あえて画力の優先順位を設けるなら?
あえて必要な画力を設けるとしたら、必要最低限以上は優先順位は必ずしも高くない、というのが個人的な見解です。
締め切りを守ったり、コミュニケーションが成り立つ方が、絵がうまいけど会話が成り立たない人よりはよっぽどマシ、というと分かりやすいかもしれません。
以下、画力がそこそこでも売れるレベルのイラストの概念と、売れるレベルのイラストを描く方法を解説します。
売れるイラストとは「見たことがある」イラスト
普段生活している中でよく目にするイラストを分析してみましょう。
イラストレーターやデザイナーなら審美眼が鋭く、ついつい「すごい」「画力が高い」「デザインが美しい」など芸術性の高い作品に目が行くかもしれません。
しかし、それよりも「どこかで見たことある」ことの方が多いはずだと思います。
テレビをつければ「見たことのあるタレント」が出ています。
ブログやWEBサイトも「見たことのあるレイアウト」だし、使われる写真もなんとなく似ていますよね。
化粧品コーナーに行けば、「似たタッチのイラスト」や「似た色味」で埋め尽くされているし、書籍の挿絵もなんとなく似ています。
つまり、売れているイラストは「どこかで見たことがある」イラストです。
「どこかで見たことがある」は「売れる保証がされている」
ビジネスにおけるイラストの役割は「作品をよりよく見せること」では必ずしもなく「売ること」にあります。
一度、逆の立場になって考えてみましょう。
あなたがディレクターなら、商品のテレビCMに売れっ子か知名度の低いタレント、どっちを使いたいですか?
ほぼ間違いなく売れっ子ですよね。
知名度の低いタレントを起用すると「知らない」とスルーされる確率が上がります。
スルーされると商品が売れません。
一方で「見たことがある」ものには親近感を覚えますし、警戒心も下げることができ、「買ってもらえる」可能性があがります。
「買ってもらえる」戦略や素材は繰り返し使われます。
その結果「どこかで見たことがある」ものになっていきます。
つまり「どこかで見たことがある」ものは、見たことが何度もあればあるほど、既に「売れる」という前例があることを意味しています。
キレイなイラストと、売れる保証がされているイラストを天秤にかけたとき、経営判断はほぼ間違いなく「売れる保証がされているイラスト」です。
つまり、売れるイラストとは「どこかで見たことがある」を完ぺきに再現したイラストです。
余談になりますが、たとえ見た目が汚くても、それで「売れる」なら問題ありません。
ごちゃごちゃして決して美しいとは言えない「チラシ」の概念をネットに持ち込んで成功した「楽天」が良い例です。
「使いやすいイラスト」の分析方法
次に、「どこかで見たことがある」イラストを分析する方法を紹介します。
「どこかで見たことがある」イラストは使われるジャンルによってタッチが少しずつ違います。
例えば「女性雑誌 イラスト」で検索した結果がこちらになります。
次に「書籍 挿絵 イラスト」で検索した結果がこちらです。
かなり雰囲気が違うこと、そしてそれぞれに何となくパターンがあることがお分かりいただけるかと思います。
- ジャンルごとのパターンを検索する
- ジャンルごとのパターンを言語化する
例えば、書籍挿絵なら「線が太い」「白黒」「デフォルメ」などが挙げられます - 「使いやすいイラストのパターン」を真似する
自分が専門にしたい分野に合わせてこのような分析を行うことで「売れやすい」イラストに近づきます。
うまくできたイラストなどはポートフォリオにしてまとめておくと、実際に売り出していきやすくなります。
「売れるイラスト」に達しているか検証する方法
十分に練習を積んでポートフォリオが充実してきたら、実際に売ってみることが一番わかりやすいと思います。
営業する
ポートフォリオを持って営業をかけてみましょう。
良いイラストだと思ってもらえれば、仕事上での繋がりができ、案件に繋がります。
クラウドソーシングサービスを使う
クラウドソーシングとは、案件や仕事を発注したい企業などと、仕事を受注したいフリーランサーを繋げてくれるマッチングサービスのことです。
クラウドソーシングではロゴ、アイコン、商品紹介漫画などをはじめ、イラストを必要とする様々なお仕事を見つけることができます。
誰でも無料で手軽に始めやすく、スキルアップを目指す方も数多く在籍しています。
ココナラ
業界最大手のココナラは200種類以上のカテゴリから豊富なサービスを揃え、サービス提供はすべてオンライン上で行うため時差や働く場所を気にする必要がないのが魅力です。
クラウドワークス
クラウドワークスでは、専属キャリアサポーターを通して、報酬額や勤務地、職種やスキルなど、ワーカーの希望に合った案件を獲得できます。営業が苦手な方に特にオススメです!
スキルクラウド
通常、公募された案件に応募しないと案件獲得できないクラウドソーシングサービスですが、スキルクラウドは出品者として仕事を依頼できるため、営業が苦手な方にオススメです。
SKIMA
SKIMAはイラストに特化したクラウドソーシングサービスです。オリジナルキャラクターなど、漫画っぽいタッチが得意な方に特にオススメです!
ランサーズ
日本最大級のお仕事マッチングサイトで、常時1000件のお仕事が登録されているため、あなたに合った仕事を見つけやすいのが特徴です!
イラストが苦手でも売れるレベルに達する考え方
ここまでイラストを分析し、上達することによってイラストを売る方法について解説してきましたが、ぶっちゃけ私は画力が神レベルでなくてもイラストで食っていくことは十分可能だと思っています。
もちろん「もっとうまくなりたい!」「描くのが楽しい!」という人はどんどん描いて上達すべきだと思いますし、それが強みになるのは間違いないと思います。
しかし、イラストが売れるためには様々な要素があるので、画力が苦手分野なのであれば、得意なスキルでカバーできれば何の問題もありません。また、最低限の画力さえあれば、神レベルにならなくても画力の低さをカバーするのはそう難しくないと思っています。
理由①(売れさえすれば)イラスト自体は何でもいいから
👆の動画で2:57あたりから、Chrisはこんな話をしています。
ノーブランドの白いTシャツには素材代以外価値がなくても、Nikeの(チェックマークの)ロゴがついた瞬間20ドルで売れるようになる。
でも、ぶっちゃけ別のイラストだっていい。
例えば(Nikeブランド系列の)エアジョーダンのロゴが描いてあるものでも確実に20ドルで売れる。
Nikeというブランドが大事であって、イラストは何だっていいんだ
クライアントにとっては「売れる」ことが大切なのであって、作品自体は何だっていいわけです。
売れるなら黄色のTシャツでも水色のTシャツでもいいのと同じ感覚で、部数が売れるなら誰が描いたどの漫画でもイラストでも構いません。
理由②売れるイラスト=画力が高くないと描けないイラスト、ではないから
これは先ほどの「何億円もの価値があるNikeのロゴを描くのに必要な画力」の話に通じます。
絵が下手な漫画だってストーリーが面白ければ売れますし、トイレの標識などオリジナリティのないイラストでも使えれば売れます。
イラストを「売る」ことが最終目的なのであれば、画力を強みである場合以外は、画力に固執するのは悪手です。
それよりも、自分が得意なスキルとイラストを売るのに必要なスキルが重なる部分を伸ばした方がイラストが売れる確率はぐーんと上がります。
理由③描ける人に外注した方が自分が輝けることに集中できるから
画力の上達よりも好きなことがあるのであれば、好きなことをできる時間が長い方が嬉しいですよね。
例えば私は「ただ作れれば幸せ、上達できれば幸せ!」というよりも「アイディアを形にするのが好き!」というタイプです。
なので、最終的に「絵を描く」のが自分である必要は全くないと思っていますし、
と思っています。
イチから絵を練習し直して、必要な画力に達することはもちろん可能ですが、画力をつけなくても好きなことができるので、最低限をクリアすれば画力は必ずしも身に付けなくても大丈夫だと思っています。
時間は有限で、1人でできることには限界があります。
だったら、自分が一番面白いと思う部分に関わるのが一番幸せになれると思います。
まとめ
以上、「売れるレベルのイラストとは?画力との相関は?プロのイラストレーターが本気で考えてみた」でした!
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