アメリカでイラスト報酬・使用料を受け取るときに源泉徴収を免除する方法【海外フリーランス|税金対策】
こんにちは!めお(@meeowmiya)です。
アメリカ在住10年目、イラストレーターとして日本を含め海外各国からお仕事をもらっています。
本記事では、アメリカで行なったイラスト業務について、源泉徴収を免除してイラスト報酬や使用料を受け取る方法について解説していきます。
本記事は次のような方にオススメです。
- 海外で日本の業務を行っており、海外に納税している方
- 日本と居住国での二重課税を防ぎ、税金対策を行いたい方
- 海外業務でも源泉徴収対象となるイラスト制作に海外から携わっている方
海外移住している国と日本との間に租税条約がある場合、正式な手続きを踏むことで、イラスト制作のように源泉徴収対象であっても源泉徴収を免除することができます。
私の住むアメリカは、日本と租税条約を結んでいる国ひとつです。
本記事では、①アメリカで事業主が行う手続きと②日本でクライアントに行ってもらう手続きに分けて源泉徴収免除の方法を解説していきます。
また、この手続きは個人・法人に関わらず適用することができます。
最近は日本からのご依頼も増えてきたことで海外取引も増えてきており、各クライアントごとに同じ作業が必要なため、自分メモも兼ねてのエントリとなります。
それでは詳しく見ていきましょう。
目次
海外で源泉徴収対象にならない業務
まず、海外で行なった業務で次の条件を満たす場合は源泉徴収対象になりません。
- 海外で、帰国せずに業務を行なった
- 成果物が著作権の対象にならない
私のようにイラスト制作を生業にしている場合、②の「著作権の対象」になるために源泉徴収対象となり、何もせずに支払い手続きを進めると二重課税となります。
- 日本で源泉徴収された(=課税額を引かれた)額が支払われる
- 居住国において更に課税対象になり、タックスリターン時に計上される
しかし、アメリカは日本と租税条約を結んでおり、この場合は簡単に言うと条件が揃えば「日本からもアメリカからも課税されず、アメリカからの課税だけ」にしてもらうことができます。
アメリカのように日本と租税条約を結んでる国にて業務を行う場合は源泉徴収対象の業務であっても、手続きを行うことで源泉徴収を免除にすることができます。
租税条約による減税・免税の申請
手続きのプロセスは大きく分けて2ステップあります。
- 事業主が書類を準備して日本のクライアントに送付する
- クライアントが管轄税務署に免税手続きを行う
事業主が行う準備
まずは事業主が行う準備について解説していきます。
ざっくりとした感覚としては①「私(私の会社)は日本と租税条約を結んでいる国で納税しています」ということをアメリカが証明する書類と、②税務署が必要としている個人情報や会社情報をまとめた書類を用意します。
Form 6166(居住証明書)
まずアメリカでの納税を証明する居住証明書という書類の準備方法についてです。
Form 6166はIRS(Internal Revenue Service)いわゆるアメリカ国税局が発行する書類で、IRSに手続きを行うことで発行されます。
必要書類
居住証明書に必要な書類は次の通りで、こちらをフィラデルフィアのIRSに郵送します(郵送先は後述するInstructions to Form 8802に明記されています)。
- 申請書 Form 8802
- 申請料$185の小切手(法人の場合)
- 申請料$85の小切手(法人の場合)
- 個人情報開示許可書 Form 8821 (法人の場合)
Form 6166の発行はIRSに申請書(Form 8802)を送付することで発行されます。
Form 8802 Application for United States Residency Certification
Form 8802のpdfはこちらのリンクより取得可能です。
Instructions to Form 8802
また、Form 8802記入のための指示は次のpdfよりアクセス可能です。申請が何年目かによって指示が変わることに留意が必要です。
10 Penalties of perjury statements
項目10の宣誓文はフォーマットが決まっているため、必ずInstructions to Form 8802を読んで形式通りに書く必要があります。
ここでは「企業と企業のオーナーがどちらもアメリカの居住者で、納税を行っている」ということを宣誓します。
法人の場合は法人オーナー全員の宣誓文が必要です。
また申請1年目の場合、各オーナーの個人情報開示を許可するForm 8821が同封されていないと手続きが行われないため、注意が必要です。
Form 8821 Tax Information Authorization
Form 8821のpdfはこちらのリンクより取得可能です。
11 Number of certification needed
また項目11では、どこの国との租税条約についてのレターが何毎必要なのかを記入する欄があります。
ここでポイントとなるのは、レターを何枚申請しても、申請料は一律ということです。
居住証明書の発行にはかなり時間がかかりますが、租税条約は各クライアントと行うため、複数機関と取引がある場合は複数の居住証明書が必要になってきます。
どうせ同じ値段なので、多めに頼んでおくことがオススメです。
書類に不備などなければ申請から通常30-45日ほど居住証明書が送付されます。
しかしIRSは手続きがとにかく遅くサービスが悪いことで悪名高い機関ですので、早め早めの申請をオススメします。
税務署申告書類(法人の場合)
イラストレーターが法人として税務署に提出が必要な書類は次の通りです。
様式3は契約ごとの金額や期間を書く必要があるため、毎回新しく発行します。様式16、17は会社情報です。
税務署申告書類(個人の場合)
イラストレーターが個人として税務署に提出が必要な書類は次の通りです。今回は私自身、個人としての申請を最後まで行ってはいないのですが、提出を頼まれた書類を列挙しています。
様式3は契約ごとの金額や期間を書く必要があるため、毎回新しく発行します。様式17は個人情報です。
税務署での免税手続き
以前は実印が必要だったため、契約ごとにすべての書類を郵送で…という地獄のようなシステムだったらしいのですが、現在は実印が必要ないとのことで、電子ファイルでのやりとり+クライアントさんによる届出は工夫次第で実現可能という状態です。
まとめ
以上「アメリカでイラスト報酬・使用料を受け取るときに源泉徴収を免除する方法」でした!
経験談を元にして本記事を書きましたが、管轄税務署やクライアントごとに必要書類が多少変わる可能性はありますので、会計担当と密に相談しつつ申請してください。
「役に立った」と思っていただけたら、シェアいただけますと幸いです。ブログやWEBサイトなどでのご紹介もとても嬉しいです!